はじめに:なぜ世界を「実装」するのか?

Zero-Cheeseです。

本記事では、「神様ごっこ(Project Genesis)」に関する、検証計画を記します。

このプロジェクトは、

  • デジタル空間に社会を作り
  • フィジカルAIを搭載した自律AIエージェントを住まわせ
  • どのような社会性を築くかを検証する

ことを目的として、推進します。

人間社会にある「暗黙のルール」や「社会性」は、AIエージェントだけの世界でも自然発生するのでしょうか?

検証したい3つの実験

従来の「静的なAI」では見えてこない、身体性と社会性に関する実験です。

実験1. 【情動性】「痛い!」と叫ぶAIは、トラウマを学習するか?

今のロボット制御において、衝突は単なる「数値的なエラー(ロスやコスト)」として処理されます。

しかし人間は違います。

ぶつかったら「痛い!」と感じ、その恐怖(大きいものだと、トラウマ)が、次の慎重な行動を生みます。

この実験では、AIが壁に衝突した際、

  • 「痛い!」とテキストや音声で絶叫させ、

その「負の感情」を短期記憶に焼き付けます。

ただの数値ではなく、

  • 「感情(情動)」をループに組み込んだ時、AIの回避行動はより生物的で安全なものになるのか?

を検証します。

具体的な検証内容

一度派手に転んだAIは、次からその場所を通る時に(物理的には通れるのに)、「怖いから通りたくない」と躊躇するようになるか?

検証1のイメージ

実験2. 【社会性】AIだけの世界に、「譲り合い」は生まれるか?

狭い廊下で、向こうから人が来たら、私たちは無言で道を譲ります。

これは人間社会では当たり前の光景です。

では、たくさんのAIエージェントを住まわせた時、

  • 「右側通行」や「順番待ち」といった社会ルールが自然発生するのか?

具体的な検証内容

利己的なAI(早く行きたい)同士が、

  • 衝突を繰り返した末に「譲ったほうが結果的に早い」と学習し、
  • 社会性を獲得する瞬間が発生するのか

を検証する予定です。

実験3. 【ロバスト性】「意地悪な世界」で育ったAIは、現実のカオスに勝てるか?

従来のSim2Real(洗濯物たたみ等)は、「誰も邪魔しない静かな部屋」で行われます。

だから、現実で少しでも状況が変わると、頻繁に想定した挙動から外れます。

ここでは、

  • 「タスクをこなそうとするAI」の横で、
  • 「タスクを妨害するお邪魔AI」を同居させます。

この

  • 「理不尽で意地悪な世界」で揉みに揉まれたAIは、過酷な環境に適応できるのか

検証します。

具体的な検証内容

突然横から手を出されたり、配置を変えたりしても、

  • 「世界一往生際の悪い(ロバスト性のある)AI」

が生まれるか、検証する予定です。

The Architecture:実現するための技術スタック

上記の実験を行うためには、

  1. 「思考と行動を生成する脳」(大脳と小脳)
  2. 「通信」(神経)
  3. 「物理法則のある世界」(身体・環境)

を繋ぐ必要があります。

この実験装置を、

  • Physical AI × ROS 2 × UE5

という構成で実現します。

①「思考と行動を生成する脳」

思考と制御を司るレイヤーです。外部の計算リソース(GPUサーバー等)で稼働させます。

大脳(Reasoning):ローカルLLM (Llama 3 等)
  • 「お腹が空いた」「右へ移動しよう」といった、高度な意思決定と言語活動を担当します。
小脳(Control):VLAモデル (π0 / OpenVLA 等)
  • 視覚情報を受け取り、具体的な腕の角度や移動速度を制御します。

②「通信」(人間でいう神経)

ROS 2 (Humble/Jazzy)
  • ロボット業界の標準ミドルウェアです。(ROS2使わないと、通信設計が複雑になりすぎて、不可能だと想定)
  • AIエージェントの脳からの指令を、シミュレーションへ伝達するための神経網として機能

③ 物理法則のある世界」

Unreal Engine 5 (UE5)
  • ゲームエンジンですが、物理演算(Chaos Physics)とフォトリアルな描画(Lumen/Nanite)を持つことから、シミュレーション環境として採用します。
  • ここに、AIエージェント(Pawn)を生活させます。

Next Step:最初の一歩

壮大な話をしましたが、私はまだ現在の進捗はまだ「UE5でC++のHello Worldが表示できた」レベルです。

ここから、泥臭い実装の日々を綴りたいと思います。

次回は、「天地創造の1日目:ロボットが暮らすためのUE5プロジェクト設定」 について、取組み内容を書いていきます。

興味を持たれた方は、ぜひお付き合いください。